こんにちは。黄天化です。
先日とあるお客様から電機マニュアル翻訳のお仕事を受注させていただき、その原稿を確認するときのことです。
原稿はフローチャート入りのExcelファイルで、フローチャートの部分は画像となっています。
翻訳するに際して、これらの画像をテキスト化しなければなりません。なぜなら特に大型の翻訳案件では、翻訳メモリツール(CATツール)にテキスト原稿を投入する必要があるからです。
そこで次のような画像がありました。


従業員が起こしたテキスト確認しながら「“運準QP”ってなんだろう」「“チェックQM”のトコはいわゆるフローチャートの条件分岐だよね、とすれば普通そこから伸びる線はYesかNoなのに、ここでは“Pq”と“[gu”…」「“[gu”?待って、おかしい。これはもしかして文字化け?」
“[gu”で、さすがに何かがおかしいことに気づきました。
そこで絶賛リモート作業中の従業員に確認してみました。なんと彼女のところでは次のようになっているではありませんか。

ON が QP に、OK が QM に、No が Pq に、Yes が [gu に、それぞれなったようです。
なにか規則性が見えてきませんか。
ON → QP、“OK→QM”では、すべて“O”が“Q”にばけていることがわかります。アルファベット2文字分、先へずれていますね。
“N”が“P”になったのも、“K”が“M”になったのも、やはりそれぞれ2文字分ですね。
“No→Pq”も2文字分、“Yes→[gu”は、“es→gu”はわかりやすいですが、“Y→[”は、おそらく文字コード表内で“Y”の2文字分先が“[”だからでしょう。
実に面白い現象です。
私の環境はMac Book Pro 2018 13インチ、OfficeはMicrosoft 365のその時点での最新版16.60。一方従業員はMac Book Pro Mid 2014で、Officeのバージョンは16.59、0.01バージョン差です。
OSは私はmacOS Montereyでバージョンは12.0.1。一方従業員はmacOS Big Surでバージョンは11.65。


Officeはほとんど変わらないので、もしかしてこれはOSの違いによる問題かもしれません。
しかし確認して本当によかったです。確認していなければ間違った原稿が出来上がっていたに違いありません。
でも事はここでは終わりません。似たような画像が他にもたくさんあるし、従業員はそろそろ終業時間。いちいち確認しては時間が足りないので、他の方法を考える必要があります。
Windowsで開けば間違いないかもしれませんが、うちのWindowsにはExcelが入っていません。😭
ならばと、LibreOfficeで開いてみました。LibreOfficeは無料のOfficeスイートでOfficeの代わりにある程度なるものですが、Officeを所有している私のところでは、主にUnicodeのCSVを出力するために重宝しています。Excelのファイル形式は問題なく開けます。


すばらしい!LibreOfficeではすべてが正常です。一部カッコがずれていたのも直ったし、なんとフォントもきれいになりました。
LibreOfficeとExcelを見比べながら原稿の確認を無事終えることができました。
しかしこの2文字ズレは何なんですかね。ネットで調べてみましたが、該当記事がなく、原因不明です。
Excel内で画像をダブルクリックしてみると、「このオブジェクトの作成元アプリーケーション」を起動できませんとメッセージが出ます。他のアプリケーションで作られた画像のようです。

LibreOfficeでは画像のコンテキストメニューに「Edit with External Tool」(外部ツールで編集)がありましたので開いてみました。
するとIllustratorが立ち上がり、画像内の文字が選択可能になりました。2文字ずつずれることからも分かるように、これは単純な画像ではなく、Excelでは選択できないが、実はテキストが入っている画像のようです。

またNumbersでも開いてみました。こちらでは盛大に文字が小グループに集まるようになっていました。

残る手段はWindows。やはりWindowsで確認してみないと気がすまない。WindowsにExcelをインストールし、確認してみたいと思います。
結果は後日ご報告します。