中年に入ると(まだ何も成し遂げていないが!)未来への展望よりも、過去の思い出がよく頭をよぎるようになり、子供との会話も、「父さんの若い頃は」、「父さんも昔は」で切り出すことが増えている。まるで昔嫌っていた父のようだ。
そんなある日「庭有枇杷樹,吾妻死之年所手植也。今已亭亭如蓋矣。」という昔を懐かしむ中国の古典の名文を思い出し、感動のあまり、全文を読んでみることにした。
古典だからわからないところがいっぱいある。ネットで現代文翻訳を探したところ、検索結果一覧画面にこれだというのがあったが、クリックするとすでにページの内容が変わっている。
以前なら検索結果の横に「キャッシュ」というリンクがあり、検索結果一覧画面に表示されているコンテンツがキャッシュされたページを読むことができたのだが、最近はそれがなくなっている。
正式に廃止された、だそうだ。便利な機能なのに。
代替として挙げてくれた「Wayback Machine」と「Archive.js」を覗いてみたが、サードパーティ製サービスだし、見たかったページはキャッシュされていなかった。
今回は回答にもある「cache:URL」の方法で見ることができたが、これもいずれ廃止されるのだね。
困ったことである。
ちなみに私が感動した文は、「項脊軒志」という明の時代の人が書いた文章の結びの一節で、「庭には枇杷の木がある。妻が亡くなった年に手植えしたものだ。今はもうまっすぐ高く伸び、枝葉が大きな傘のように広がっている。」という意味だ。
枇杷は成長の遅い木だという。奥さんを亡くしてから年月が流れ、顔も姿形もだんだん思い出せなくなっているが、その木だけがその間もどんどん成長し、形見として見守ってくれているという、心の琴線に触れてやまないまさに名文だ。